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「さあいらっしゃいいらっしゃい。小池マスクの特売だよ！」

「俺にもくれ」

「俺にもだ、俺にも」

「俺もだ、早くよこせ」

「１枚１万円悪税込だって！１０枚くれっ！」

「押さないで押さないで。数に限りはないけど順番にお願いします」

「とにかく俺にも５枚。５万円でいいんだな」

「店長、小池マスク、なんでこんなに売れるの？」

「あんた、なに考えてんの？さっきから売れてるのは小さいマスクばかりでしょ？大きいマスクは全く売れてないでしょ？」

「そういえばそうね。なぜだろう？」

「そんなことはいいからとにかく！できるだけ大きいマスクもまぜて売っちゃうのよ。どうせ男なんてバカなんだから」

「俺にもマスク！マスク！」

「もう小さいほうは売り切れです。大きいほうならまだこんなにあります」

「ちっ、しょうがねえなまったく。いちかばちかで１００枚買っとくか。どれかあたるだろう。ほい、１００万円」

「どうもありがとうございます～」

「店長、そういえばお客さん、男の人ばっかりね」

「ようくみてごらんなさい。レズビアンもいらっしゃるわよ」

　　　―――

じゃんじゃんじゃらららん　じゃんじゃんじゃらららん

うぉー　うぉうぉー　うぉうぉうぉうぉうぉー

「こんにちは。今日はジャパライフのしのら社長にお越しいただきました」

「来いちゅうさかい来たんや。茶ァぐらい出せ」

「ところでしのら社長、小池マスクで大儲けされたそうですが、そのアイデアはどうやって思いついたんですか？」

「あんたらの番組みてて思いついたんや」

「それでこないだ私にマスクを着用させた…」

「あと都知事にもさせたからな。あんたに１２０万枚、都知事に８０万枚や。あわせて２００万枚。これを１枚１万円悪税込で売っとうねん。もう完売したからまた頼むぜ栄子ちゃんよ」

「２００万枚を１万円ということはいくらになるのだろう？」

「２０億円よ、村上さん」

「まあ、これも商売の仕方やさかいな。悪う思わんといてや。しかしお客様はちゃんとわかっとう。小さいマスクと大きいマスクの違いを」

「そういえば私がしたマスク、大きいのもまじってた…」

「意味がわかんないんですけど、しのら社長」

「村上はだまってろボケ！俺はいま栄子ちゃんとしゃべってんだ！」

　　　―――

「おかしいわねえ。都知事選に負けちゃったわ。しのら社長は私にマスクを何枚もつけて都民に売れば私の美貌で男性が票を入れるから勝てるとおっしゃってたのに」

　　　―――

「弁護士の清水で～す。実は浮気してま～す。私が訴えられたりして」

「清水先生、これってどういうことでしょう？」

「しのらさんでしょ？あの人を信用するほうが悪いんですよ。まあ詐欺罪に該当する可能性はなくはありませんが勝てませんね」

「でも勝てる可能性が少しでもあるなら訴えてちょうだい」

「その代わりここに８０万枚マスクあるんで全部つけてください」

　　　―――

「え～、お静かにお静かに。私は東京地裁の裁判長。えらいんだぞ」

「裁判長！しのらさんは私をだまして都知事選に負けさせたんです。ねえ清水弁護士…あっ！清水弁護士がいないっ！」

「ここにいま～す」

「なんであんた被告の弁護人やってんの？！」

「しのらさんから小さなマスクを１００枚もらったんで」