1989年3月の中国上海での出来事

当時の一部中国人は日本人観光客をどう見ていたか



この写真は私が学生時代、1989年3月に中国へ貧乏旅行したときに写した写真です。私は上海で汽車のチケットが取れず、杭州に行けなくなりました。取れたチケットは夕方。そのときまだ朝でした。

困った私は「寄存処」(荷物一時預かり所)に荷物を預け、ふらふらしてました。そこへ声をかけてきたのが精悍な中国人男性でして。「うちで休んでいけ」と言う。言われるままについていくと、そこは迷路のような上海駅前の路地街で。狭い路地で洗濯ものを干したり、あと料理店も多かった。

私は彼の家で料理をごちそうになり、つたない中国語でおしゃべりをしました。そして「2階にベッドがあるからそこで休め」と。上がると小さな男の子がいました。それが写真の子です。

今は何才でしょう。私が二十歳前でしたから35、6才でしょうか。私に声をかけてくれた男性は65、6才になっていると思います。

時間となり男性に迷路を案内され、荷物も受け取りました。そして杭州行の汽車に乗るんですが、男性は車内までついてきます。車内はぎゅうぎゅう詰めで人民服を着た中国人たちが席を奪い合っていました。数羽のニワトリやカメを縄でくくったものをぶら下げている人もいます。みんな多くの荷物を持っています。行商に行く人もあれば仕事を探しに行く人も多かったと推測します。

すると男性が大きな声の中国語で中国人たちに一喝するのです。

「ここにおられるのは日本から来た大事な客人だ!席を空けろ!」

私は「かまいませんよ」と中国語で言いましたが、みながぞろぞろと席を立ち、私は恐縮しながら座って杭州まで行きました。

中国では日本人だという理由で唾を吐きかけられたりもしました。しかしこういう中国人もいるんだということを知ってもらいと思います。
 

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